事例3の切り分け(難しい)について考えてみました

 

こんにちは  先日再現答案添削を依頼されている方から「 事例Ⅲについて、切り分け、対応付けがぼろぼろで、厳密に採点されると非常に厳しいのではと思い不安です 」と相談されました。  事例Ⅲの分析が終わり再現答案の確認なども進めていたところでしたのでその方へのお返事も兼ねてまとめました。

さっそくですが 第1問(設問3) 「自動車業界で要求される短納期に対応するために必要な改善策」に対する受験生の80分の現場での切り分け結果をグラフ化したものです。(下記) 平成27年中小企業診断士2次試験解答の趣旨グラフ(1-3)

 ④の設備稼働状況の改善(与件文最終段落の調査結果)がこの設問に対応する正しい切り分けであると私は考えております。

 けれども、実際の受験生の答案は上記のように「全工程の生産計画の作成」や「工程担当者が加工順を決めているものを改善する」が半数を占めています。  ④設備稼働状況の改善(内段取りの外段取り化等)をきちんと表現できた方は14%程。とはいえ列挙した論点の一部として答えておりそれをメインとしては展開していません。

 

次に、第2問  鋳造工程優先(=実は機械加工工程の重要性の高まりもあり、時代遅れになっているこの会社のデファクトスタンダード)により生産工程に生じている問題点とその改善策が問われています。  前問同様、再現答案をお送り頂いた受験生のこの設問に対する切り分け結果をグラフ化したものです。(下記)

- 問題点としてあげたこと -平成27年中小企業診断士2次試験解答の趣旨グラフ(2-問題点)

 私の考える正しい切り分けは、③リードタイムの長期化による納期遅延と、④残業発生です。

 これに対して多くの受験生が答えたのは、①の仕掛品の増加や、②の機械加工工程のネック化の論点です(これらはどちらかといえば改善策のところで入れたい論点ですが問題点としてあげても文章展開次第で良いと思います)  ただ、②機械加工工程のネック化の解消方法がいわゆる「ラインバランシング」的な解答を求めているので改善策として「全工程の生産計画を作成した上で統制していく」と書きたくなります。  ところが第1問(設問3)でその論点( 全工程の生産計画を作成 )を答えたい(答えている)場合は、ここではどう(違う)改善策を書けばいいのだろうとなって第1問(設問3)に戻って考えて「 切り分けのスパイラル 」に悩まされることになりそうです。また、 ①仕掛品の増加 についても前問でも使えそうな(あるいは使っている)場合は重複に悩みます。

 本日10月25日、事例Ⅲを解き始めた14時過ぎ頃、先に終わった事例Ⅰと事例Ⅱで「 感触のつかめない問題と格闘しとりあえず解答はしたけれども手応えがわからず、あるいはやられた感で失意のその時、事例Ⅲの設問を読んだら例年とあまり変わらない設問にみえる。よしここで取り返そう、と思ったらこの切り分けの不透明かつ複雑さ 」

 結局、第1問(設問3)を初めの勘で書いたまま消し直すことなく、第2問も同じような解答主旨を書きながらも書きぶりを変えて、すこし違う残された与件の表現などを使って、なんとか手戻りしないで次に進んで書いていく。  そんな対応で、いつものように論理的な解答展開をできたら良かった。

 ところで、私の再現答案添削の中では、第1問(設問3)や第2問、第3問は切り分けの正確さに限定しないで、たとえ多少対応箇所に違いはあっても問われていることに沿ってしっかり論理的に書きけていれば得点にしています。

 もし厳密に切り分けてその対応付けありきで採点すると第1問(設問3)や第2問あたりはほとんどの受験生が加点されず、そこでは優劣がつけられなくなってしまいます。  そするとそれ以外の設問だけで受験生の実力を評価しなければならなくなり、たとえば、第1問(設問1)で問われたような、「強みを抜き出す力」(現状分析能力)のある人は合格し、渦中の問いの「現場の改善提案能力」(診断士にとって必要不可欠)の有無は合否判定の外となる。  結果、合格者の能力に偏りが出てしまう。そのようなことを試験委員が望んでいるとは思えない。

 今思えば、「100点取れなくても 」とあれほど自分に言い聞かせていたのだからそれでよかった。そして粛々と今まで学んできたことを、その範囲でできる対応をしていけば最善の結果が得られると思う。

 

- 改善策としてあげたこと - 平成27年中小企業診断士2次試験解答の趣旨グラフ(2-改善策)

まだまだ、言葉足らずで説明したいこともあるのですが・・・

 

また、次回は講師の ”とも” さんにブログご登壇いただく予定です。

     

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