過去10年分 !! 統計資料のまとめ 試験結果分析(その1)
中小企業診断士試験の本当の合格率とは何だろう
1月6日の2次試験合格発表とともに「統計資料」が中小企業診断協会から公表されました。そこで今回、10年分の合格率などをまとめてみました。 (このあと5回にわたり詳細に合格率を見ていく第一回目です) < 今回まとめたこと >
1)1次試験の結果(合格率)分析
中小企業診断士 1次試験の過去10年の合格率推移と簡単なコメントです。
※各画像はクリックすると別ウインドウで拡大表示されます。①の申込者数は、最近は20,000人程度で安定推移しています。 一方、②の実際の受験者数は、ここ5年間減少が続いています。 (平成22年の15,922人をピークに平成26年は13,805人) →(不受験者数の増加) そこで不受験者数を抽出してみます。
平成26年は不受験率が過去最大の29.3%となっており、実に3割弱の方が受験料を支払いながら、実際には会場に行かなかったということになります。 なぜなのでしょう。統計資料だけではその原因はわかりませんが思うように勉強が進まなかったということでしょうか。 ③の合格者数は、平成20年、21年、平成24年~26年が3,000人台です。 ④の合格率は診断協会の公表した(実際に試験を受けた方に対する)合格率です。 平成26年度は23.2%、10年間の平均は21.0%です。 ⑤の合格率は(不受験の方も含めた)受験申込者数に対する合格率です。 ところで、④の診断協会公表の1次試験の合格率はここ3年ほど高め(平均を超え20%台前半)ですが、それは合格しやすくなったということでしょうか。 計算式を見ると、診断協会の合格率の算出は実際に受験した方のみを分母としております。ところが、ここ3年は上記の通り不受験率が高いのです。ということは、不受験率が高まることで分母が小さくなり、ここ3年は合格率が高く出てしまっているとも考えられます。 不受験に終わったとはいえ、試験合格を志して受験料まで支払って申し込まれた方たちです。そうした方も分母に含めてよいのではないでしょうか。すると合格率は10年間の平均と比べてみてもそれほど変わりません。 平成26年度は16.4%、10年間の平均は15.7%です。 つまり、1次試験の難易度はここ3年も過去とは大きく変わらず、しっかり勉強し試験会場で受験することが合格に結びついているという結果です。
2次試験の結果(合格率)分析
中小企業診断士 2次試験の過去10年の合格率推移と簡単なコメントです。
⑥の申込者数は、ここ3年、5,000人程度で推移しています。 ⑦は実際の受験者数であり、ここ5年は、毎年3%余りの方が不受験となっております(下表参照)。仕事の都合、体調不良、転勤などでしょうか。1次試験に較べれば少数派です。
⑧は口述試験に合格した最終合格者数です。 ⑨は診断協会の公表した合格率です。 平成26年度は24.3%、10年間の平均は20.5%です。 最近は合格率が年度によって5~6%程年度ばらついている印象です。 ⑩の合格率は、(不受験の方も含めた)受験申込者数に対する合格率です。 平成26年度は23.4%、10年間の平均は19.9%です。 厳しい1次試験に合格し、受験料を支払って申し込みまで済ませた方ですので分母に含めても良いと考え計算したのがこちらの合格率です。
1次・2次 通算の試験の結果(合格率)分析
中小企業診断士 1次・2次試験通算の過去10年の合格率推移と簡単なコメントです。
— 中小企業診断士試験の本当の合格率とは何だろう — こちらの表は1次試験と2次試験通算の合格率を算出したものです。 ⑭は診断協会の発表する実際に1次試験を受験をした⑫の方を分母とし、2次試験に最終合格した⑬の方を分子とした合格率です。 平成26年度は8.6%、10年間の平均は6.6%です。 そして、⑮は(1次試験の不受験の方を含めて)試験を受けるつもりで受験申し込みをした⑪の方を分母とし、2次試験の最終合格にたどりついた⑬の方を分子とした合格率です。 — 平成26年度は6.1%、10年間の平均は4.9% — こちらをもって中小企業診断士試験の合格率とするのがもっとも妥当と考えます。 とはいえ、実際は1次試験を申し込まないまでも勉強を始めた方や、書店やネットで診断士試験の受験を検討した、予備校にパンフレットを請求した、という方まで含めれば、裾野はもっと広いのかもしれません。 ※今後、男女別や年齢別、勤務先別なども分析してみたいと思っています。