(2025/1/18出題)
2024年版「中小企業白書」(中小企業庁) 第1部 第4章 事例1-4-5 を加工して作成
【設問】事例を読み、以下の設問の回答をコメント欄にて送信してください。
①福岡県に本社を置くA社は、東京支店を開設し、営業活動の拡大に乗り出した直後にリーマン・ショックで経営環境が激変した。当時東京・福岡両支店の支店長だったA社長の事業戦略について、100字以内で述べよ。
【事例】グランド印刷株式会社
所 在 地 福岡県北九州市 従業員数 55 名/資本金 1,200 万円 事業内容 印刷・同関連業
福岡県北九州市のA社は、1969 年の創業時から手掛けるシルクスクリーン印刷技術を基盤に、広告看板・サイン、段ボールディスプレイ、壁紙などのデザイン・印刷を手掛ける企業である。2008 年、広告関連ビジネスの東京集中に対応するため、同社は東京支店を開設して営業活動の拡大に乗り出した。ところが、直後に発生したリーマン・ショックで経営環境は激変。当時、東京・福岡両支店の支店長として顧客開拓の先陣に立っていたA社長は、広告代理店の下請を脱してエンドユーザーと直接つながる新たなビジネスモデルへの転換を推し進めるとともに、帳票処理や情報共有といった業務フローの煩雑さを解消するため、デジタルツールの導入と独自の基幹システム開発に取り組んだ。
経営環境の変化に直面した同社は、営業対象を住宅不動産業に絞り、小規模な不動産会社や工務店向けに「入居者募集」「売地」などを記した広告看板を直接売り込んだ。さらに、数百種類のデザインをテンプレート化してカタログを作り、顧客が簡単に商品を注文できるWeb サイトを開設して通販事業を開始。これまでの対面営業ではスキルやノウハウの個人差が大きく営業の属人化という課題を抱えていたが、営業担当者の力量に頼らず、パート社員など誰が営業を担っても同様の売上げが確保できる非対面の販売基盤を整えた。一方、営業活動の拡大により本社と東京・福岡両支店の3拠点間の業務フローが膨らみ煩雑さが増したため、2009 年にクラウドツールの活用によるDX に着手。グループウェアやビジネスチャットを順次導入した上で、最終的にはIT コーディネーターの支援も受けながら、全体を統合する独自の基幹システムを開発・稼働させた。売上げや請求・入金処理、顧客データ、工場生産計画といったあらゆる情報の一元管理が可能となったことで、業務フローの見直しが進み、残業時間の減少や有給休暇取得率の向上など、職場環境が改善し、女性従業員比率も30%から 70%まで増加した。「DX は、誰もが活躍できる環境整備につながる。今後は、障害者雇用にも取り組んでいきたい」とA社長は語る。同社独自の基幹システムは、受注拡大のためのマーケティングにも活用されている。エンドユーザーである顧客の業種や購入商品、購入頻度、購入のきっかけなどの販売データを蓄積・分析することで、顧客のニーズに即した新たなサービスや商品の創出が容易になり、年間2~3件の新規事業創出が常態化して成約率も向上。新型コロナウイルス感染症の感染拡大局面でも、段ボール製パーティションや多彩な絵柄のフェースシールドといった新規事業で、過去最高の売上げを記録した。同社は、シナジー効果が見込まれる複数の事業を統合・連携させて成長を目指す「連邦多角化経営」を掲げ、DX の取組を通じて、新規事業で蓄積した販売データを連携させて更なる新規事業につなげる好循環を実現している。
【設問回答】フォーム
なお、ディスカッション会を予定しております。後日、投稿にてご連絡いたします。ご希望の方はお気軽にお申込みください。白書100本ノック交流ポリシーは こちら より
ご回答は、下記のコメント欄に指定文字数100文字以内でご記載ください。
事業戦略は差別化集中戦略である。東京の大きな市場にあって、ドメインを敢えて営業効率の悪い小規模な工務店など顧客のニッチ市場に絞り込んで大手企業の参入を防ぎ、付加価値を高めて、下請からの脱却を図った。